偽不良くんの告白

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「「キャァアアァアアーー!!!」」 「え、高嶋めっちゃ可愛くねぇ?あれ本当に同一人物かよ」 「やばい!めっちゃタイプ!かっこいい〜!」 食堂に入るなりいつも以上の黄色い声と雄叫びが痛いくらいに鼓膜を揺らした。顔面トップクラスのメンバー達に加え、俺の正体が明らかになったことでギャラリー達が余計に騒がしかった。 俺がいうのもなんだが凪がイケメンだとわかった時以上に盛り上がりを見せていると思う。元が不良だったからそのギャップが凄いんだろうな。 「本当に一ノ瀬様と付き合ってるのかな?」 「だって競技中に連れ去ってたよ!」 「僕は山本様だと思うけど…」 「いや、風紀委員長様らしいよ!誰かがキスしそうなとこ見たって噂だよ」 「いやいや、同室の星乃様に決まってるでしょ!」 ヒソヒソと聞こえてくるのはどれもこれも俺に関する噂ばかりだった。どれ一つとして真実は存在していなかったが、恋バナと噂話が大好きな生徒たちに何を言っても通用するはずがなかった。 (あーもう。折角考えないようにしてたのに。) あの件があったから今まで一ノ瀬について考えないようにしていたのに、名前を聞くと自然に思い浮かぶあの光景。そしてそれと一緒に今朝、奏太から額にキスされたことも思い出してしまう。 「なつ、何頼む?」 「ぎゃっ!?」 隣から覗き込むように奏太の顔がドアップで映りこんできて、俺は踏ん反りかえるようにしてソファにもたれかかった。 「「「キャアァアアァアア!!!」」」 はい、出ました。食堂にイケメンがやってくるとともに聞こえる男子校とは思えない高い声。俺の時とは比べ物にならないほどの声援で、恐らく生徒会だろうと目を向ければ思った通り生徒会長と望月がいた。 俺は望月とパチっと目が合ったがすぐに逸らされてしまった。あれは俺だとわかってて意図的に逸らしていたと思う。特段仲が良かったわけではないが、無視されるのはやっぱりモヤッとするものだ。 望月が俺の正体を知ってどう思ったのかは知らないし、離れていっても別に何とも思わない……と、思う。多分。ただ残念なのは望月が作った美味しい手作りお菓子がまた食べれないことくらいだろうか。 (また食べたかったな…)
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