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「あれ?上履きは?」
視線を落とした高嶋くんが僕が靴下のままだということに気づいてしまった。
「洗おうと思って家に持って帰ったら忘れて来ちゃったんだ。」
「そっか。だから職員室にきたのか」
すると職員室のドアが勝手に開いて、僕が顔を上げると高嶋くんのお婿候補である教師が居なさった。
「高嶋、待たせたな。これ頼む」
「え、このくらい自分で持ってけよ。もっと多いと思ったからきたのに。」
「生意気だなこの口は」
「ひゃへほ、ははへ〜!」
矢野先生は片手で高嶋くんの両頰を掴んでゆらゆら揺らした。この萌える光景に僕は教師×生徒という王道カプに2人を当てはめて想像してみる。
「このまま末長く幸せに暮らしましたとさ…」
「宗方どうした」
「ハッ……スリッパを借りにきました!!」
矢野先生に話しかけられて現実に戻ってこれた僕はというとこの短時間で告白、お付き合い、結婚、という一連の流れを妄想していた。高嶋くんが素直になれない時は大人の優しさで包み込んでくれて、夜になるとちょっと意地悪になって………という感じで萌えしか生まれなかった。
「そこにあるから適当に持ってけ」
「ありがとうございます!」
「おう。宗方くらいお前も素直だったら可愛げあんのにな」
「うるせぇ。別に俺は可愛くなくていいんだよ」
高嶋くんはムスッとしながら矢野の手紙を強引に奪って胸に抱えた。
(これは嫉妬フラグか?僕ったらいい仕事するじゃん!!)
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