腐男子くんはめげない

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スリッパを無事に借りることができた僕は手紙を持った高嶋くんと一緒に教室に向かった。 今までも違う意味で目立っていたが、今は輝きが増して格好いいと可愛いを兼ね備えている。最近よく笑うようになったからか皆んなの視線を独り占めしているし、この学園のマドンナと言っても過言ではないだろう。 僕の予想では高嶋くんの攻めになり得る人物が6人はいると思っている。まず爽やか代表山本くんは最早夫婦だし、クール無口な星乃くんはスキンシップ多くて萌えるし、槙田くんは一ノ瀬くんが好きらしいけど可愛い攻め要員としては必要不可欠だ。あと一ノ瀬くんはなんだかんだ一途で高嶋くんのこと溺愛してそうだし、早乙女くんだって良い攻めに成長しそうだし、それに矢野先生も居るとなるとこりゃ一妻多夫制にするしかないな…。 「あっ、新さん!」 「!?!?」 向かいから無駄にフェロモンを垂れ流した国宝級イケメンが歩いてきたと思ったら、隣の可愛い高嶋くんに耳と尻尾が生えて(幻覚)、ご主人様の元に走っていく犬のようにパタパタと駆けていく。 「夏輝、おはよう」 「おはようございます!」 「教師の手伝いか?偉いな」 「へへっ、」 高嶋くんと風紀委員長は仲が悪いという噂は全くの嘘であった。新さんと呼ばれた鬼の風紀委員長が大切なものを見つめるが如く目を細め、高嶋くんの髪を撫でる。すると高嶋くんは今までにないぐらいのデレデレ顔を見せた。 「あっ!宗方、この人は新さん。俺の尊敬する人ナンバーワン!」 「柴犬がおるで……」 ドヤ顔する姿さえ愛くるしくて、吐血してしまいそうだ。 「面白い友人だな」 「はいっ…良い友達に巡り合えました。新さんのおかげです!!」 まさかあの鬼の風紀委員長と呼ばれる彼のこんな優しい顔が見られるだなんて思っていなかったが、これは嬉しい誤算だった。 (もう1人攻め要員追加ですね把握把握…っと。)
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