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そんな出来事から数日、僕への制裁は収まることなく日に日に状況が悪化していった。誰が主犯なのかは知らないが、毎日毎日よくもこんな手の込んだことができると感心する。お陰で毎朝早起きするのが習慣付いた。
「やることが金持ちなんだよなぁ…」
まだ誰も来ていない教室で自分の机に置かれた花瓶を見ながらポツリと呟いた。
「そろそろ呼び出しが来る頃だと思うんだけど…」
そう思いながら机の中を漁ると、僕の予想通り黒い封筒が入っていた。中身を見てみると差出人はもちろん書いていなくて、一方的な文章と、日時と場所が指定してあるだけだった。
(これは誰かに相談すべきなのか。………いや、言えるわけない)
◇ ◇ ◇
「はぁ……」
「大丈夫か?」
幸せが体から抜けていくのを感じていると、高嶋くんが心配そうに僕の顔を覗き込んでくる。その優しさについポロっと弱音を吐き出しそうになるが、高嶋くんは優しいから自分のことを責めてしまうだろう。
「うん、大丈夫!」
何かが起こってからでは遅い。それは王道学園小説を徹夜で毎日読んでいた僕だからこそよく理解しているのだが、制裁を受けている自分を知られるのが恥ずかしくて言い出せなかった。
「そっか。何かあったら言ってな」
「うん」
「じゃ、頑張れよ副委員長」
そう言われてやっと委員会が始まることを思い出した。僕はそろそろと委員長である三好先輩の隣の席に腰掛けた。
「久しぶりだね、宗方」
「そうですね……」
「……?」
いつもだったら楽しくて仕方ない学園生活も、妄想ばかりしている委員会も、今日は上の空になってばかりだった。
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