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「……た…宗方?…むなかた、宗方」
「はっ…え?」
「もう委員会終わったよ。」
三好先輩の声でハッと我に返ると、委員会は終わっていてみんな荷物を纏めているところだった。
「何かあった?俺で良ければ話聞くよ」
三好先輩もまた世話焼きな性格で、後輩の面倒見が良くみんなに頼られる存在だ。たまに意地悪だけど、僕にも本当に良くしてくれている。
友人には心配をかけてしまいそうで話せないけど、先輩にだったら打ち明ける事ができるかもしれない。
「あの、先輩……」
「うん。なに?」
助けを求めようと迷いながらも口を開いたが、頭の中に嫌な考えが浮かぶ。三好先輩も3年の中では人気がある生徒で、僕が関わることによって新たな火種を生んでしまうかもしれない。そう思うとやっぱり先輩にも相談できなかった。
「いや、何でもないです。高嶋くん、帰ろう!」
僕はそう言い残して、逃げるように立ち上がり高嶋くんに声をかけた。勘がいい先輩は僕の挙動不審な態度を見て、何か察してしまったかもしれないが今は見て見ぬフリをして欲しい。
「三好先輩いいのか?なんか心配そうな顔してるけど…」
「うん!!早く帰ろ!」
三好先輩の方をチラチラ見る高嶋くんの背中をぐいぐい押して、教室を後にした。
「あっ!!!!」
寮へ帰ろうと雑談をしながら長い廊下を歩いていると、向かいから歩いてくる3人組の中の1人の生徒がこちらを見るなり大声をあげた。
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