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「……よ、よくそんなこと本人の前で言えますね!千鶴先輩のことだから誰にでも言ってるのかもしれないけど俺は…」
「君が聞いたんだろ!それに、俺が好きになったのは高嶋くんが初めてだ!!」
「ああぁあっ、もう!やめてください!聞いてるこっちが恥ずかしい!!」
りんごのように真っ赤になった顔でジロっと可愛く睨みつけられ、俺はムキになって答えた。すると高嶋くんは耳を押さえて、天敵を目の前にした小動物のようにシャアァッと威嚇してくる。
子どもが好きな子をいじめたくなってしまう気持ちが今ならよくわかる。俺の言葉で怒ったり顔赤くしたり表情をコロコロ変えて、もっと困らせたくなってしまう。
「高嶋くん、俺決めたよ」
「……?」
俺がパクパクと喋っているのを見て高嶋くんはキョトンとした顔をしながら耳からそっと手を離す。
「俺が高嶋くんのこと本気で好きだってわかってもらうために頑張るね。」
「だーかーらーっ!!もうわかりましたから!」
この人懲りないな、と思われているに違いない。高嶋くんは俺の言葉をシャットダウンしようと、また手で耳を塞ごうとする。
「いいや、高嶋くんはわかってないよ。」
「ちょ……っ」
俺はその手首を掴んで、耳元にそっと唇を寄せた。ちょっとくらいの意地悪は許して欲しい。
「高嶋くん、好きだよ」
俺なりの精一杯の愛を囁いた。
「〜〜〜っ!!やっぱアンタは性格悪い!」
「ハハッ、よく言われる」
手を勢いよく俺の手を振り払い背を向けてしまう高嶋くんを見て愛おしさがどんどん溢れてきて、もう止まれそうにない。
絶対、振り向かせてみせるから。待っててね。
望月 千鶴side end…
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