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高嶋 夏輝side
『高嶋くん、好きだよ』
あの声が脳内で何度も再生されては恥ずかしさで悶えている。普段チャラついていそうに見えるのに、あんな時だけ本気な感じでくるのはズルい。女の子だったらクラッときてしまうんじゃないだろうか。
しかも恥ずかしがっていたかと思えば大人っぽい色気を醸し出して、ギャップ萌えとはこのことなのだろうか。
「高嶋くん?」
宗方の声でハッと我にかえると、無意識のうちに眉間にしわを寄せながら千鶴先輩のことで頭がいっぱいになっていたことに気付く。
「悪い、考え事してた」
「むふ腐……副会長様といい感じだったもんね!」
「そういうんじゃないけど……」
宗方の目にはいい感じに映ってしまったらしいが、俺の気持ち的に男と付き合うのは抵抗がある。
一緒に過ごすだけなら良いが、付き合うとなるとほら、やっぱりそういうこともする訳で。本当に好きじゃないとその壁は乗り越えられない気がする。
しかし、千鶴先輩との話はそれだけではなかった。
『高嶋くんの友達……あそこでニヤニヤしながら見てる子、多分制裁を受けてるよ』
どうやら俺が不良じゃないと分かった途端、生徒たちが目の色を変えて宗方を潰しにかかっているようなのだ。千鶴先輩は自分の親衛隊たちには手を出さないように釘を打っているらしいが、もしかしたら俺の親衛隊ってこともありえる。
宗方の周りにはランキング上位者ばかりが集まっており、誰が制裁を行なってもおかしくはない状況なのだ。
そんなことにも気付けないでいたなんて。今考えてみると上履きの件や先生からの呼び出しが多いこと等、おかしな点はいくつもあった。友達なのに力になってあげることができないなんて不甲斐ない。
「宗方、何か俺に言いたいことないか?」
「……?………あっ、総受け万歳!!!!」
きっと宗方なりに心配かけまいとしているのだろう。うん、そうに違いない。
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