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翌日から俺は宗方と一緒に行動することを心がけた。しかし朝だけはずっと一緒と言うわけにもいかなくて、宗方はなぜか想像以上に早く登校してきている。特に呼び出しをされている様子はないがそんなに早くに来て何をしているのだろうか。
俺の親衛隊である早乙女にも宗方について確認したところ、親衛隊員の怪しい動きはないそうだ。早乙女が色々と取り締まってくれているらしいし、俺の生活を壊す隊員がいたものなら手段を厭わないとも言ってくれていた。
「僕、先生から呼び出されてるからちょっと行くね!」
「ダメ。俺もついてく。」
「え…でも……」
「いいから。」
凪や山本、槙田は何も言わずとも察してくれて、宗方の隣には誰かが常にいる状態だった。しかし相手も諦めが悪く、あの手この手を使って仕掛けて来るのだ。
◇ ◇ ◇
「宗方せんぱーい!」
帰りのホームルームが終わり、寮に帰ろうとしているところに1年の保健委員がやってきた。どうやら宗方に用があるらしく、軽く話すと宗方は「三好先輩が呼んでるらしいからいくね」と言って後輩と何処かへ向かった。
その時俺は何の疑いもなくそれを受け入れたのだ。保健委員も顔見知りだし、三好先輩なら心配ないだろう、と。
「え?あの人は?」
「宗方のことか?」
「うん、いつもだったら一緒に帰るじゃん」
槙田がわざわざ俺のクラスに一ノ瀬に会うためにやってきて、開口一番にそう言った。俺が一連の流れを話すと、槙田は眉間にしわを寄せて首を傾げた。
「それ、おかしくない?なんでわざわざ後輩に呼び出しさせるの?忙しかったにしても、スマホで連絡する方が手っ取り早いと思うけど。」
「確かに……」
「じゃあ宗方は今どこに…っ」
槙田の言葉に凪が納得して、俺はザワザワと胸が騒がしくなった。
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