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どの空き教室を探しても、裏庭や人気の無いところへ行っても見つからなくて不安が募っていく。
4人でこの広い学園の中にいる1人を見つけるのは無理がある。人手が足りないにも程がある。誰か頼れる人はいないかと走りながら考えて、真っ先に思い浮かんだのはなぜかアイツだった。
「……なんでアイツなんだよ」
すぐにそんな考えはやめて、風紀委員長である新さんにメッセージを送った。決定的証拠はないが、新さんなら動いてくれるはずだ。風紀委員が探してくれるとかなり心強い。
(そういえば、凪が制裁を受けていたときの場所……あそこはよく制裁の場所として使われるって千鶴先輩が言ってたような……)
俺は風紀室へと向かっていた足を西校舎に変えて全速力で駆けた。
◇ ◇ ◇
西校舎に着いたは良いものの、この校舎も広くてどこから探せば早く見つかるのかわからない。
「ぁっ…んン……っ、そこ、だっ……ぁ…」
「嘘つき。ここが良いんだろ?」
「……っ、ここじゃないみたいだ」
ヤリ場で有名だから声を聞き分けて探すのも一苦労だ。俺は耳と勘だけを頼りに足を進めていく。
「ひっ……やだっ…やめろっ!ぁっ……」
「意外と可愛いじゃん。」
「俺たちが可愛がってあげるね」
下品な笑い声とカメラのシャッター音、そして明らかに拒否を示しているくぐもった声。それは聞き覚えのある声だった。ここに違いないと確信して、その扉を勢い良く開けた。
「宗方っっ!!!!!」
「「「!?!?」」」
宗方の上に馬乗りになってシャツに手をかけている生徒とスマホを持ってその様子を撮影している生徒がすぐ目に入った。宗方はこちらを見上げ目を潤ませ、必死で抵抗していた姿が見てわかる。
一気に頭に血が上り、腸が煮えくり変えって平常心ではいられない。
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