隠れワンコくんは見守り隊

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その後の隊員達との対面がどうだったか言わなくても予想がつくだろう。感激のあまり泣き出す生徒もいれば興奮して鼻血を流す生徒もいて、かなりカオスな状況になった。 お茶菓子と紅茶を用意した席へと案内し隊員たちも着席する。しかし隊員たちは高嶋さんと同じ空気を吸っているというだけでソワソワと落ち着かず、緊張した空気が流れ始めた。そんなことを察してなのか、それとも照れ臭かったのか高嶋さんは柔らかな笑みを溢し、その笑顔に皆が和んだのは言うまでもない。 「あ、これ。俺の知り合いがすっごくお菓子作りが上手くて…頼んで作ってもらったんだ。よかったらみんなで食べてください。」 高嶋さんはそう言いながら、鞄とは別に持っていた紙袋から水色の包みを取り出し手渡してくれた。まるで宝物を貰ったかのような隊員たちの眼差しを浴びながら、その包みに入ったフィナンシェを皿に盛り付けていく。 「えっと…何を話したら良いんだろう」 総勢40名となる親衛隊を目の前に困惑している様子の高嶋さん。親衛隊と言えど表立って活動することもなく、陰で見守ったり裏で動くのがほとんどで、彼らとは初対面のようなものなのだ。 「高嶋さん、隊員たちはみんな高嶋さんに色々お聞きしたいことがあるみたいです。」 「じゃ、じゃあ何か質問ある…かな?」 コソッと耳打ちをすると高嶋さんは何度か頷いた後、少し緊張した面持ちで口を開いたのだった。
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