夏輝くんの夏休み

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「まぁ…甘い物食べてると幸せですけど。」 「そうなの?…あ!じゃあ今度一緒にパンケーキでも食べに行かない?良いお店知ってるんだ」 「男2人で…?」 「うん、男2人で。」 何も躊躇うことなく頷く寮長を見て、うーん…と首をうねって考えてみる。パンケーキ屋さんには前々から行ってみたいと思っていたし、1人で行くのはちょっと気が引けるから、美味しいパンケーキを食べに行けるチャンスは今しかないかもしれない。 「わかりました。行きましょう」 「やったぁ!!」 そうして俺は帰省からまた寮へ帰ってきた時にパンケーキを食べに行く約束を寮長と交わしたのであった。 「ただいま」 「………ん、おかえり」 部屋に帰ると凪はソファで携帯を弄っていて、声をかけると何かを確認するように俺の体を上から下まで見てから返事をした。 「明日から俺行くけど、大丈夫か?」 「まぁ、うん」 凪と一緒に過ごしてから部屋を長い間空けてしまうのは初めてだからこちらとしてはちょっと不安だが、凪は気にも留めていないようだ。とりあえず2日分くらいは作り置きおかずを作っておくことにする。 「お土産」 「じゃあ俺の可愛い妹の写真沢山送る」 「……食べ物がいい」 「はいはい」 俺の可愛い天使の写真より食べ物がいいとは良い度胸だ。特別にデッドソースをお土産に買ってくることにしよう。 それから俺は作り置きのおかずを作ったり、久しぶりに家族に会えるのを楽しみにしながら自分の部屋で荷造りをしたりしていた。 ─ コンコン 「どうした?」 「別に何も」 寝る前に凪が枕を抱え俺の部屋にやってきて、ベッドを占領しスマホゲームをやり始めた。なんだかんだで凪も1人で留守番するのは寂しいのだろう。 凪の隣に横になってしばらくすると、小さな寝息が聞こえてきた。いつもクールだけど、可愛いところもあるなと思いつつ布団を掛けてやる。 「おやすみ、凪」 (………やっぱりデッドソースじゃなくてご当地じゃがりこでも買ってきてあげるか。)
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