夏輝くんの夏休み

17/27
前へ
/565ページ
次へ
◇ ◇ ◇ 「ククッ…本当にナツキちゃんって馬鹿」 「馬鹿っつーかアホ?まぁ従順で可愛いけどねェ」 「ギャハハ、間違いねぇ…つーか家族も馬鹿なんじゃねぇ?DNA受け継いでさぁ」 ─ ダンッッッッ 「っざけんな……….」 昼休み、友達と食事をして会話を楽しんでいたクラスメイト達は机を叩く音で一気に静まり返った。 「何回も言ってんだろ。夏輝はお前らみてぇに馬鹿じゃねぇって。アイツが大事に思ってる家族の悪口まで言うんじゃねぇよ!!!」 俺と天音くんはよく家族の話をしていた。俺は家族が大好きで妹にメロメロで何回も天音くんにその可愛さを自慢した。天音くんの家は厳しくて、成績が良くないと叱られたり出来の良い兄と比べられることもあって愚痴をたくさん溢していた。そんな天音くんに自分の家族の話をするのは少し躊躇いがあったけれど、天音くんはもっと聞かせて欲しいと優しい笑顔で言ってくれた。 俺と俺の家族のために怒ってくれたのが嬉しくて、でも申し訳なくて……だけど、やっぱり天音くんは天音くんなんだって知れて嬉しかった。 「ぁあ゛?またお前かよ。」 「つーか、夏輝夏輝って……お前らホモ?できちゃってんの?」 「うるせぇ……お前らはいっつもいっつも口を開けば人の悪口ばっかだ!!人の良いところを見つけられないお前らは人間のクズだ!そんな奴等が夏輝のことを…夏輝の家族を悪くいうなんて俺が許さねぇ!!!」 その後のことは想像すればわかる。沸点が低い彼等は天音くんに何発お見舞いしたのだろうか。 それからはあの日俺が見た光景と同じ内容だった。一ノ瀬が登場して、また浅海達が殴ろうとしたところに俺が出ていって、先生に見つかってしまったのだ。 (※ あの日というのはp303参照です。)
/565ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5510人が本棚に入れています
本棚に追加