偽不良くんは諦めない

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桜舞い散る季節、それは出会いの訪れ。 今日から俺、高嶋(たかしま) 夏輝(なつき)琴ノ宮(ことのみや)高等学校の2年生になる。始業式で新しいクラスの発表だけのために何にも入っていないスクールバッグを肩に掛け、手をポケットに突っ込んで体育館へと向かう。 キャッキャと始業式の始まりを楽しみにする生徒が俺の周りを避けて登校している。堂々と真ん中を歩いているわけでもないのに、半径3メートル以内には誰もいない。 なぜなら俺が不良だからである。 頭は金髪、目つきが悪くキツイ印象を受けるつり上がった目、細身ではあるが程よく筋肉が付いている鍛え上げられた体。 前髪はあげて横に流すアップバンクで、ワックスでガチガチにセットされている。耳にはいくつもピアスがついているが、リングのピアスがお気に入りだったりする。 チッと舌打ちをすると、俺の様子を伺う生徒が肩をビクッと揺らした。 「なつ~!」 その声に足を止めて体ごと振り返ると、満面の笑みで手を振ってこちらに駆け寄ってくる俺の唯一とも言える友達。 「おっはよー!」 「おう…」 肩をポンと叩かれて、ぶっきらぼうにも聞こえる返事をして肩を並べて道を歩く。 この男の名前は山本(やまもと) 奏太(そうた)。一年の時に同じクラスであることをキッカケにたまに一緒にいるようになった。 山本は茶髪のツーブロで左耳にピアスが1つ付いて少しチャラそうに見えるかもしれないが、爽やか系イケメンだ。誰にでも愛想よく接することができるタイプで、よく周りには人が集まっていた。
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