青春とは、汗と涙とパンケーキだ

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望月 千鶴side 昨日から俺はハッピーなこと続きで天にも昇る気持ちだ。電話がきたときは夢かと思ったし、今この部屋で俺の隣にいることがどれだけ嬉しいか高嶋くんは知らないだろう。 そして今は俺のことを意識してるのかなって表情になって、空気感もなんだか恋人未満の男女みたいな雰囲気だ。これは自分にもチャンスがあるのかもと期待してしまう。 「つ、次は……」 「小麦粉とアーモンドパウダーを」 「「あっ……」」 小麦粉が入ったボウルを取ろうとして、高嶋くんの手に触れてしまった。パッと目が合って、一瞬だけ時が止まった気がした。高嶋くんはサッと手を引っ込めて、その手を反対の手で包み込み胸に当てる。 可愛すぎて今すぐにでも抱きしめたい。だけど今オオカミになってしまえば、高嶋くんは俺に笑顔を見せなくなってしまうだろう。だから絶対しない。 「やっぱり。千鶴先輩といるとなんかムズムズするんですよね」 「ムズムズ…?え、アレルギー?」 「そうじゃなくて…なんかこう、擽ったいっていうか……俺、あんまり好きとか言われるの慣れてないから…」 「ゔっ………俺のお嫁さんが尊い」 こめかみをかいて照れ隠しをする高嶋くんを見て心臓がギュンッて…ギュンッてなった。 そう言ってくれるってことは俺にちょっとでもドキドキしてくれてるって事なのか。そうだったら本当に嬉しい。 「俺、人のこと好きになったの初めてだからさ、どうやって表現したら良いかわからないんだよね。だから好き好きオーラ溢れちゃってるでしょ?」 「まぁ…はい。でも意外です。すごいモテて恋愛経験とか多そうなのに。」 「うん、自分で言うのもアレだけどモテるかな。でも恋愛経験なんてほぼ0で初心者だよ。」 高嶋くんには格好良い俺を見て欲しいのにいつも上手くいかない。それに、こんなに親しくなる前は俺って本当に嫌な奴でマイナスイメージしかなかったと思う。だけど高嶋くんがありのままの俺の方が好きだと言ってくれたから、高嶋くんの前では自分を偽ったりしない。
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