青春とは、汗と涙とパンケーキだ

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その後は順調にフルーツタルトを作り上げていった。千鶴先輩は鼻歌を歌いながら終始機嫌が良くて、本当に分かりやすい人だ。 「「できた!!」」 ツヤだしのためのナパージュを最後に塗り上げて、ご褒美のフルーツタルトが完成した。喜びのあまり飛び跳ねながら千鶴先輩とハイタッチしたくらいだ。 「ありがとうございました!」 「ううん、俺はレシピを教えただけだし。友達喜んでくれると良いね。」 「はい!千鶴先輩、ちょっと味見してくれませんか?」 「えっ、え……!?いいの?」 「はい、初めてつくったものはやっぱり師匠の千鶴先輩に味見してもらわないと」 「は、はじめて……」 ″ 初めて ″という単語になぜかトキめいている様子だったが、よくわかっていない俺は6等分に切る作業に集中する。 「うん!!美味しい」 「良かった…」 千鶴先輩からはなまるをもらった俺は一緒に味見という名のお茶会を開いて楽しいひと時を過ごした。今日は秘伝のレシピを教えてもらってご褒美のタルトも作れたし、千鶴先輩のことも色々知ることができた。 「今日は楽しかったよ。また来てね」 「俺も楽しかったです。今度は俺の部屋で夕食ご馳走しますね」 「うん、楽しみにしてる」 帰る頃にはもう夕食の時間も過ぎていて、丸一日部屋にお邪魔して申し訳ない気持ちになった。 俺はペコリと頭を下げてエレベーターの方へ向かって行くが、千鶴先輩は俺を見送るためなのかなかなかドアを閉めようとしない。 「ほんと、真っ直ぐな人だな」 つい笑みが溢れて、曲がり角で千鶴先輩に小さく手を振り返した瞬間だった。 「あ……」 バッタリとその人に出会ってしまって、驚きのあまり一歩退いてしまった。こんな瞬間に出会うなんてついていない。いつもだったら会うのが嬉しいのだが、この状況をどう説明していいのかわからない今、正直微妙な気持ちだ。 「夏輝……?」 「……新さん」 手に持っているタルトが入った箱を後ろに隠しつつ、顔に笑みを貼り付けた。
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