青春とは、汗と涙とパンケーキだ

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─ チュンチュン 「あ……………もう朝……?」 いつもなら布団に入ってすぐ寝れるはずなのに昨日はなかなか寝付けずにいて、眠りに入ったのは深夜だった。まだ少し寝足りないが今日はバスケの試合に奏太を応援しにいくため、すぐに準備をしなければならない。 まだ少し怠い体をムクリとベッドから起こして、パジャマからラフな私服へと着替える。まだ寝ている凪の分も一緒に朝食を作り栄養を補給し、準備をして家を出た。 ◇ ◇ ◇ 俺が行った時には試合は既に始まっていて、選手と観客たちの熱気が凄かった。ボールをドリブルする音、シューズが擦れる音、選手たちの掛け声、観客や仲間たちの声援、全てが新鮮で胸が高鳴った。俺も部活に入っていれば、勝利に向かって仲間たちと高め合い競う楽しさを知ることができたのかもしれないと思うとちょっと羨ましくなった。 (あ、奏太だ。) 奏太は赤いユニフォームを着てレギュラーとして試合で活躍していた。味方からパスされるとボールを体の一部かのように扱いながら相手にフェイントをかけて進み、ストンッと軽やかにジャンプし、華麗にシュートを決めた。 「すご……」 パスする時なんてパスする相手の方見てないし、あんなにたくさんマークされている中を潜り抜けてシュートするなんて感心するしかない。今日は他校の生徒もいるからかいつも以上にギャラリーも黄色い歓声で沸いている。 「「「ありがとうございました!!!」」」 結果は圧倒的大差で琴ノ宮学園の勝利だった。今まで表彰などが行われる朝会をサボっていたから気づかなかったが、この学園は勉強だけではなく部活まで優秀なのかと驚愕した。 奏太は満面の笑みで仲間たちと肩を組み喜びを分かち合っていた。俺といる時に見せる表情とは全然違う雰囲気だったが、楽しそうな奏太を見て知らぬうちに口角が上がっていた。 すると奏太は何かに気づいたようにパッと顔を上げてこちらを見た。俺を見つけるなり顔を綻ばせ大きく手を振る姿に少し恥ずかしくなりながらも手を振り返した。
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