青春とは、汗と涙とパンケーキだ

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「なつ!来てくれてありがとな。めちゃくちゃやる気出る」 「うん、1回戦おめでとう!めちゃくちゃ格好良かった!」 試合の合間を見て来てくれた奏太は首にタオルをかけて爽やかに登場してきた。祝福の言葉を送ると、「まだまだこれからだろ」と得意げに笑った。 「あ、そうだ!これよかったらみんなで…大したものじゃないんだけど」 「差し入れ?サンキュー!みんな喜ぶと思う!」 俺はゼリー飲料や軽くたべれる物が入った袋を渡すと、奏太は嬉しそうに中身を覗いた。俺はその姿を見ながら、自分の鞄の奥に入れた小袋に触れる。 実を言うと試合を頑張ってほしくて奏太にだけ作ったものもあるのだが、今になって渡そうか迷っている。過去に友達関係を拗らせていた俺にとって何が普通なのかわからず、こんな物を渡して喜んでくれるのか思い倦ねていた。 「あのさ、奏太……」 「ん?」 「山本〜!コーチが呼んでる!」 「わかった!すぐ行く」 思い切って渡そうと声を掛けた瞬間に奏太がチームメイトに呼ばれてしまい、渡すタイミングを失ってしまった。けれど残念な気持ちと同じくらいホッとして、体に入っていた入っていた力が抜けていく。 「……で、どうした?」 「あ、いや……また後で…」 「今聞きたい。……だめ?」 そんな柴犬みたいな純粋な目で見つめられたら断ることなんてできなくなってしまう。俺のことなんて後回しでも良いのにと思いながら、自分のことを優先してくれて嬉しい気持ちも少しあって、本当に奏太は天然タラシだ。 「でもコーチに呼ばれてるんじゃ…」 「行ったらなつのことだから言わないつもりだろ?」 「ゔっ……じゃあ渡しても絶対笑うなよ?」 図星を突かれて渋々その小袋を出すと奏太は不思議そうにそれを見つめてから、袋が破れないようにそっと封を開いた。
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