青春とは、汗と涙とパンケーキだ

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「そう、た………?」 置かれている状況を理解していないのか、なつは瞬きを繰り返し俺を見上げる。 「えっと…とりあえず起きていい?」 「ダメ」 なつの両手首をベッドに縛り付けるように掴むと、持っていたフォークが音を立てずシーツに落ちる。なつの力なら俺のことなんて突き飛ばせる筈なのに、それをしないのは動揺しているからだろうか。 可愛らしい唇に齧り付きたくなる首筋、近づけば甘美な香りが俺の鼻を擽る。こんなに美味しそうな獲物を目の前に涎を垂らしながら″待て″なんてできそうにない。 「んっ……」 気が付けば瞳を閉じ唇を重ねていて、その柔らかさと温度を味わっていた。その瞬間は幸福感に包まれていて、もっともっとその熱を感じたくなった。 唇を重ねたままゆっくり目蓋を開ければ、視線が合って俺は顔を上げた。 「ごめん。」 その表情を見た途端、天国から地獄へ落とされたような絶望感が俺を襲った。なつは唇を小さく震わせ俺から目を逸らし、小さく吐息を吐く。 「……辛い時はそういうこと…したくなる時もある…よな。」 「違う。」 必死に言い訳を見つけてくれようとする姿を見ると胸が痛くなった。それを理由になかったことにすれば良いのに俺にはそんなこと出来なくて、すぐに否定した。 見開いた瞳とまた目が合って、俺は手首を掴んでいた手をするすると指に絡ませギュッと握った。 「なつ、好きだ。」 もう友人ではいられない。 そう思ったらすごく悲しくて、すごく楽になった。だけどきっとこれは気持ちを押し付けることにしかならなくて、一方的で、報われない恋だ。なつにとって男同士は気持ち悪いかもしれないし、理解もしてもらえないかもしれない。 「それ、は……」 「恋愛的な意味のやつ。」 「っ……!?」 真っ直ぐ瞳を見つめれば、徐々に顔が赤くなっていくのがわかって、今度は俺が目を見開いた。
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