青春とは、汗と涙とパンケーキだ

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パンケーキでお腹を満たしたところで、俺たちは寮に帰ってきた。一緒に外に出掛けるのも楽しいけど話をするなら落ち着ける場所が良いよね、と結弦くんが提案してくれた。 「それで、俺に話してくれることって何だろう?」 いま俺は寮長の部屋ではなく、結弦くんの部屋にお邪魔させていただいている。結弦くんもずっとあの部屋にいるわけではないらしい。 「えっと…」 「言い出しにくいこと?友達にでも告白された?」 俺がモゴモゴと口を動かしていると、少し冗談めいた感じで結弦くんが聞いてきた。図星だった俺は体も表情も固まってしまって、紅茶を準備してくれている結弦くんは「当たっちゃったか」と眉を下げ笑った。 「俺、ビックリして。そんな風に思ったこと一度もなかったから……恥ずかしくて、申し訳なくて、でもちょっと嬉しい気持ちもあって。」 「うん…」 温かい紅茶とお菓子を用意してくれた結弦くんは俺の隣に腰掛け、話を聞いてくれた。 「こんなこと誰にも話せないけど、寮長になら……結弦くんになら、話せる気がして。」 「頼ってくれて嬉しいよ。そういう好意は素直に嬉しいよね、わかる。」 結弦くんはそう言って紅茶に角砂糖をポトンと落とし、スプーンで混ぜながら溶ける様子を見つめていた。 「俺、どうして良いかわからない。男の人に告白されたのは初めてじゃないけど、友達は初めてで…断ったらこの関係が壊れるんじゃないかって不安で……」 「きっと夏輝にとってその友達はすごく大切な人なんだね。」 「はい。この学校で1番にできた友達です。俺をちゃんと見てくれていた人なんです。」 奏太が側に居てくれたことがどんなに支えになっただろうか。俺のことを見つけてくれて、友達になってくれて、本当に心から感謝している。
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