青春とは、汗と涙とパンケーキだ

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「でもさ、恋愛的な意味で好きじゃない人にそうやって断れることは本当に大切だよ。流されちゃうと、お互いに良い思いをしない。その友達もきっと夏輝の素直な答えを待ってる。」 「そうだよね…」 羨ましいというのが本音だ。きっと今、夏輝の頭の中はその友達のことで頭がいっぱいで、大切な存在だからこそ答えを迷っている。 「実際のところ、付き合うってどんな感じかわからなくて。俺、付き合ったことないし。」 「えっ…わかってはいたけど、夏輝は童貞処女ってこと?」 「う、うるさい。……悪いですか」 「いやむしろ最高っていうか」 頰を赤くして恥じらう夏輝を見て、初めて″萌え″という尊い感情を味わった俺は顔を両手で覆った。 「とにかく恋愛とか疎いんですよ、俺。」 それを聞いてまだ何色にも染まっていない純白なこの子を墜としてしまいたい衝動に駆られる。けれど、この黒い感情を表に出してしまったが最後、夏輝に嫌われてしまうだろう。それだけは絶対に嫌だ。 「わからないよ?自分でも知らない間に好きになってることだってあるんだから。」 自分の黒い部分を悟られないように平静を取り繕って顔を上げる。夏輝は俺の言葉にピンときていない様子で、俺から紅茶が入ったカップに視線を移した。 「ずっと一緒にいたら、好きになれるのかな?アイツだったら絶対幸せにしてくれるだろうな。」 見たくない。聞きたくない。 誰かを想って優しく微笑む君の言葉なんて。だけどそんな君だから好きだなんて、あまりにも残酷すぎる。 「相談乗ってくれてありがとうございます。」 「全然。頼ってくれて嬉しいよ。またいつでも話聞くからね。」 きっと俺が「好きだ」と想いを伝えてもたくさん悩んで真剣に向き合ってくれると思う。けれどそんな君だから困らせたくない。 君の幸せを心から願える日がいつか来るのだろうか?どうかその日が来るまでは好きでいることを許してほしい。 夏輝、大好きだよ……─ その言葉は誰にも届くことなく、ただ自分の胸を痛いほど締め付けた。 加賀見 結弦side end…
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