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キッチンはあまり使われていないようで、必需品であるフライパンやお皿などは揃っているものの必要最低限しかない。しかしオムライスを作る分には問題ないので手際良く準備をしていく。
冷蔵庫から卵を取り出そうとしていると、足音がこちらに近づいてくる。
「槙田、料理して平気なん?」
「ん?……あれ?」
「は?え……!?ぁ゛っう!??」
卵を二つ取り出した俺は冷蔵庫を閉めて、その誰かと対面する。その金髪がよく似合う顔には見覚えがあって、俺の顔を見るなり困惑している様子だ。
「坂田くん、だよね?お邪魔してます。」
「ぁ、あ゛……認知されとる…やばい。いきなりすぎてどうしてええか……つか、自分の部屋に高嶋様がおるっていうシチュエーションが死ぬ。」
相当嬉しいのか心の声がダダ漏れで、俺も苦笑いしか出来なくなってしまう。この子は俺の親衛隊に入ってくれている子で、確か1年生だった気がする。
「どうした〜?」
「変な声聞こえたけ……ヒッ」
後からやってきた赤髪と青髪の2人組にも見覚えがあった。
「宗介くんと圭ちゃん、だよね」
「そうです!覚えてくれてて俺うれし〜!」
「ヒェ、名前覚えられてる……詰んだ」
「なんやお前ら。いつ高嶋様に名前覚えられてんねん!!ズルイで!!」
「うるさいんだけど、どうしたの?」
俺たちのやりとりが騒がしかったのか槙田が目を擦りながらやってきて、部屋のいるみんながキッチンへ勢揃いしてしまった。
「槙田がキッチンで何かしてる思ったら、高嶋様やってん!」
「僕がそんなことするわけないじゃん。センパイは僕のことが心配でお見舞いに来てくれたの。それで今ご飯作ってくれてるとこ。」
「はぁ!?槙田お前は前世でどれだけ徳積んだん?高嶋様が!ご飯を!作る!?!?っかぁ〜〜羨ましすぎんで?」
どうやら槙田と同室なのは坂田くんらしく、やり取りを見るに上手いことやっているみたいで少し安心した。
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