猫被りくんは甘え下手?

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「坂田くんたちもお腹空いてるなら食べる?」 「良いんですか!!?」 「僕はいら……いや、欲しいです。」 「無理はしなくていいからね…」 俺の提案に坂田くんは目をキラキラと輝かせた。圭ちゃんは顔を青くしながら断ろうとしたが、坂田くんに睨まれそれは叶わなかった。料理に毒を盛られるとでも思っているのだろうか。 「お待たせ〜」 「「「おおおっ!」」」 完成したオムライスを持っていくと、坂田くんが感動した様子でオムライスと俺をスマホで連写してくれた。とりあえず落ち着かせてから席に座ると、坂田くんが槙田と他のみんなのオムライスをキョロキョロと見比べる。 「なんでなん……なんで槙田のオムライスだけハートが描いてあるんですか?」 「ああ、それはリクエストがあったから……坂田くんのも描こうか?」 「良いんですか!!!おっきいハートお願いします!」 そんなに喜んでくれるならぜひとも描こうと思って坂田くんのオムライスにケチャップでハートを描いていく。 「貸して」 「え?」 「槙田なにするん!」 ハートの枠を描いたところで槙田にケチャップを奪い取られ、その様子を見守る。すると槙田は俺が描いたハートの真ん中に亀裂を入れていて、「これで良し」と満足げに呟いた。 「高嶋様のハートが……….槙田お前鬼やな!!」 「先輩にハート描いてもらうなんて10年早いから」 最初はどことなくぎこちない空気だったのが2人のやりとりに笑いが起こり、そこからは会話に花が咲いた。 「槙田くんって面白い奴だったんだね〜全然気がつかなかったよ」 「今度一緒に昼飯食べないか?」 「別に良いけど…」 「はぁ?俺は反対やな!槙田は天使の皮を被った悪魔や」 「「「じゃあお前抜きで」」」 「うっ………堪忍してやぁ」 槙田が同い年の友達と仲良くしている姿が嬉しくて、俺はおじいちゃんのような気持ちで微笑んで見守っていた。
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