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「「「「ご馳走様でした。」」」」
「こちらこそ、全部食べてくれてありがとう。」
ご飯を一粒残らず食べ終えてくれた3人組は片付けは自分たちがやると言ってくれた。坂田くんは風邪だから無理しなくて良いとも言ったが、どうしても引いてくれなかったので任せることにした。
「センパイ、こっち」
槙田に服の裾を掴まれて、引かれるがままついて行くと槙田の自室に着いた。槙田は俺の服から手を離しベッドにダイブするように座ると、小さくため息を吐く。
「やっと静かになった」
「でも、仲良くなれて良かったじゃん」
「……センパイは僕に会いにきたんじゃないの?」
子どもがオモチャを取られて拗ねたような表情をして頬を膨らませる槙田はあざといが、申し分ないほど可愛い。
「今僕のこと可愛いって思ったでしょ」
「い゛っ……何でそれを」
「ばっかみたい。」
ご機嫌斜め(?)になってしまった槙田は布団に潜り込み、俺に背を向けた。声をかけてみても返事はなく、もしかしたらこの短時間で寝てしまったのかと思った時、布団がモゾモゾと動いた。
「……センパイはさ、誰にでも優しいよね」
「そうか?」
「そうだよ。こんな僕にもお節介して、どうせ他の誰かにもそうしてあげてるんでしょ?」
心当たりがある俺は言葉に詰まり苦笑いを浮かべながら、ベッドに背を預けて座る。
「放って置けないんだよ、お前みたいな奴は。」
「………。」
「自分を全然大切にしようとしないから。平気な筈ないのに平気なフリするから、心配になるんだよ。」
なぜか俺の周りにはそういった奴らが集まる。だから俺が大切にしなくちゃとお節介爺さんになるのも仕方ないと思う。
「でもさ。他の誰かになんて言われようと自分を曲げねぇっていうか、芯が強いところが格好良いんだよな、お前は。」
そういうところはアイツに似てるな、と思ってあの顔が頭の隅でチラついた。嫌な奴と言っているが心のどこかで尊敬してる部分も少なからずあるのだと話していて感じるものがあった。
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