猫被りくんは甘え下手?

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「ばか」 「え?」 「ドジマヌケ天然男タラシ鈍感!」 「ちょっ……えっ、槙田?」 悪口でも言ってないと嬉しさのあまりニヤケが抑えられない。体中の熱が込み上げてくるような感覚、これはもう認めざるを得ない。 「ねぇセンパイ、僕のことどう思ってる?」 くるんと体の向きを変えると丁度センパイも僕の方に体を向けてきていて、距離が近くてビックリする。それはセンパイも同じだったみたいで大きく目を見開いていた。 「ただの後輩としか思ってない?」 「えと……」 必殺キュルルン上目遣いにキュッと唇を結んで可愛さを演出し、僕のことを意識させる。僕の思惑通りセンパイは顔を赤らめてしどろもどろになった。これだからセンパイはちょろ可愛い。 「…お前は、大切な後輩だよ」 そう言って僕の頭をポンポンとリズム良く撫でてくるセンパイは照れ臭そうに微笑んでいた。 (か、か…っ、格好可愛すぎる…っ) 僕の心臓はキュンキュンの大渋滞で破裂寸前になっていた。虜にしてやろうと思っていたのにいつのまにか形成逆転されていて、思考が追いつかない。 「ちょっと生意気だけどな」 「あっ、ちょっと!もう少し撫でてて。」 センパイが手を離そうとしてくるから手首を掴んで元の位置に無理矢理戻す。 「もう少し可愛く言えないのか?」 「言えるよ?言って欲しいの?」 こうやってニンマリ笑って挑発するところが可愛くないんだろう。それくらい自分が一番よくわかってる。 「ギュッてして?」 「はっ…!?」 「ダメ……?」 起き上がった僕はベッドに腰掛け、センパイを足の間に挟み込んだ。そして両手を伸ばし可愛い顔しておねだりすると、わかりやすく慌てるセンパイ。チキンなセンパイのことだから、拒否してくる前提の行動だけど。 「ひゃっ!?」 「ほら、これで良いんだろ」 膝立ちになったセンパイは僕を包み込むように背中に腕を回してきた。不意を突かれて変な声が出た僕は石のように固まることしかできなかった。 密着しているからセンパイの体温が伝わってきて、心臓の音まで聞こえてしまいそう。声も近いし良い匂いするし、もしかしたら僕はこのまま死ぬのかもしれない。むしろ死んでも良い。
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