猫被りくんは甘え下手?

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「ふーん、そこで凪先輩頼るんだ?」 「なんだよ。誰頼っても良いだろ。」 「ちょっと意外。変な誤解されないよーにね?まぁ誤解じゃないんだけど。」 身を守るように自身の肩を抱いていると、5分もしないうちに部屋のインターホンが鳴った。 「…そう………ないですか!!」 「なんで……ここ……」 「さわ…………ちょう……から!」 どうやらあの3人組が凪のことを迎え入れてくれようだ。玄関での会話が部屋まで聞こえてくるが、なんだか騒々しい。凪がイケメンすぎるからだろうか。 ─ ガチャ 「夏輝、待たせた」 「なぎぃぃい」 凪の顔を見て涙腺が緩んだ。しかし3人組が後ろからゾロゾロとついてきたのを見て涙を無理やり引っ込める。 「まさか高嶋様と同室なのがそうちょ…んグッ」 「お前!馬鹿……ヒッ」 坂田君が何かを言いかけると凪はサッと後ろを振り返った。圭ちゃんに口を抑えられた坂田君の顔が青ざめているところを見る限り、とんでもなく恐ろしい顔をしているに違いない。 「はぁ……ほら夏輝、行くよ」 「うん…」 凪は少し呆れた様子で屈むと俺の腕を自分の肩に回して立ち上がった。俺よりも背が低い凪に支えられ、4人の視線を浴びながらドアへと向かう。なんだか気まずい。 「センパイ、お見舞いありがとね」 「お前のお見舞いなんか2度と来ない!」 「そんなこと言っていいの?さっき…」 「わーーーッッッッ!!!!ばかばか!」 槙田がさっきのことを無かったみたいに接してくるから噛み付くと、カウンター攻撃を食らって俺は大声を上げた。凪も後輩たちもいる中で何を言おうとしているんだ。かく言う俺も顔を真っ赤にするから意識してるのがバレバレだ。 後輩にキスされて腰抜けたなんてバレたら死活問題だ。恥ずかしくて外を歩けなくなってしまう。 「ふふっ。じゃあね、センパイ」 「…………おう」 今度は大人しく返事をすると凪がジトリと変な視線を送ってきて、何も悟られないよう口を噤んだ。
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