猫被りくんは甘え下手?

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ちゅ、ちゅっ…と音を立て、額、頬、こめかみへ啄むようなキスを落としていく。唇同士を重ね合わせるのはもう少しこの甘い時間を堪能してからにしようと耳に唇を近づけた。 「っぁ、……く」 耳に唇が触れると、夏輝は今までにない吐息を漏らし眉間に皺を寄せた。 「ここがイイ?」 「ふ、ぅっ……ちがっ…」 耳元でソッと囁きながら、反対の耳に触れゆっくりとその輪郭をなぞった。夏輝は口元を抑えて首を横に振るが、その反応は弱点だと言っているようなものだし逆効果だ。 「ンっ……待って、もうだめ…だ、から…」 はむっと耳朶を甘噛みすると夏輝の身体がピクッと反応する。夏輝は俺の胸をやんわり押し返し、初めての抵抗を見せた。 「ダメって何が?」 わからないフリをして問い掛けると、夏輝は俯きながら首を横に振った。今どんな顔をしているのか確認したくて両手で夏輝の顎を掴んで上げさせる。 夏輝は頬をピンク色に染めて俺を見上げる。しかし目が合った途端、恥ずかしくなったのか視線を彷徨わせた。 「……その顔、反則」 桜色の唇に魅せられて、角度を変えながら自身の唇を近づけていく。しかしちょん、と唇に触れたのは夏輝の指だった。 「ここは、ダメだ…」 「なんで」 良いところでお預けを食らって、顎に触れているのと反対の手で夏輝の手首を掴んだ。 「だって普通は…」 「普通ってなに」 「このキスは好きな人とするもので」 「俺のこと好きじゃない?」 「好き、だけど…それとは…」 「だったら俺のこともっと好きになったらいーの?」 顎をくいっと上げると、一瞬だけ時が止まったようにお互いを見つめ合った。 「そんな顔しても駄目だから!」 「…………っ、」 沈黙を破るように夏輝が俺の肩を押して抵抗し、ついにソファに押し倒されてしまった。俺の顔の横に手をついた夏輝も今の状況に驚いているようで、目を見開いていた。
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