ヤクザ教師は隠したい

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─ ガンッ コンコンッ 嫌な空気が流れ始めた瞬間、どうやら誰かが訪問しにきたようでドアを開けようとする音が聞こえてきた。 「………誰かな?」 俺は気まずい雰囲気の中、膝に手を置いたまま俯いていることしか出来なかった。溜息を小さく吐いて立ち上がる会長の足元を視線だけで追って、見えなくなったところでやっと正常な呼吸ができた気がする。 何が気に障ったのか、怒っているのか、ニコニコしていて感情がわからないから怖い。 「涼宮、いたのか。どうして鍵なんかかけているんだ?……って、来客か?」 「そう、文化祭のイベントのことで少し話しててね」 聞き覚えのある声に顔を上げると、そこには新さんがいた。新さんの目は「なんでここにいる?」と言っているようで、俺が会長と2人きりで生徒会室にいることに驚いている様子だった。 「もう話は終わったのか?」 「まぁほとんど終わったかな。」 「この資料目通しておいてくれ。生徒会の印も忘れずにな。」 「わかった。明日には提出できるようにする。」 2人が生徒会と風紀委員としてのやり取りをしている間、俺はいつここから出られるのか悶々と悩んでいた。 あんな一面を見なければこんなこと考えずに済んだのに。今度からは会長と2人きりにならないように心掛けよう。 「──それと、丁度用があるから高嶋借りても良いか?」 「うん。でも噂には聞いてたけど本当に仲が良いんだね。高嶋くん、前はあんなに噛み付いてたのに」 俺の表情を見て何かを察してくれた新さんが助け舟を出してくれて心の底からホッとした。 「じゃあイベントのこと、よろしくね。」 「はい。失礼しました…。」 「またいつでも来てね」 「ここは一般生徒立ち入り禁止だろう。誰にでも親切にするのは涼宮の悪い癖だ。」 「さすが風紀委員長だね。高嶋くん、藤堂にはバレないように来るんだよ」 ふふっ、と人当たりの良い笑みを溢す会長はさっきの出来事を忘れさせるほど、優しい雰囲気が滲み出ている。 きっとあれは俺の勘違いだったんだ、そう自分に言い聞かせて生徒会室を後にした。
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