ヤクザ教師は隠したい

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翌日の放課後、矢野に生徒会主催のイベントについて話そうと思っていたが、声をかける前に職員に呼ばれてどこかへ行ってしまった。あとで職員室に行って伝えようと思いながら鞄を肩にかけると、俺の肩を誰かがトントンと優しく叩く。 「夏輝くん、一緒に行こう」 「え?どこに?」 振り向くとそこにいたのは倫太郎だった。いつもならそんなこと言わないで一緒に帰るはずなのにおかしいと思った俺は首を傾げた。 「え?今日委員会だよ」 「集まりあったっけ?」 「あれ?矢野先生から聞いてない?僕が伝えると思って言わなかったのかな」 まただ。 最初はただの偶然だと思っていたものが疑念に変わり、昨日確信に至った。そしてまたこうして知らない間に距離を置かれている。一体俺が何をしたと言うのだろうか。 (委員会が終わったら矢野に会いに行って絶対に問い詰めてやる!) そう決心しながら倫太郎と一緒に会議室へと向かった。 「今日は生徒の健康についてのアンケート作りと、各種掲示物を作って張り出しをします。今月の保健だよりは……─」 委員会で三好先輩が話を進めていく中、俺は矢野に避けられている理由を記憶の中から探していた。教師にしては親しみやすく、何かと助けてもらったり、猫を可愛がっていたことは覚えているが、避けられる理由が見つからない。夏休み前までは普通だったのに。 「夏輝くん」 「…倫太郎?」 声を掛けられて現実の世界に戻ってきた俺は、周りが作業を始めていることに気づく。倫太郎もマーカーや画用紙を胸に抱いていて、その隣には三好先輩がにこやかに佇んでいた。 「宗方、高嶋くんのこと名前で呼んでるんだ」 「友達ですから」 「僕には名前フラグがどうこう言っていたのに?」 「それは……夏輝くんだから良いんです!」 三好先輩が一瞬だけ寂しそうな表情をした気がして慌てて弁解しようとするが、俺が今ここで何を言っても無駄な気がしてやめた。 三好先輩は後輩思いだけど、倫太郎のことを特別可愛がっているような気がする。それがどんな感情からくるものなのか俺にはわからないけれど、倫太郎を見つめる眼差しがいつも温かいのは確かだ。
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