ヤクザ教師は隠したい

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雨に濡れた肌着が肌にくっついて体のラインが強調され、一ノ瀬は妙な色気を醸し出している。こんな密室で瞳を閉じた無防備な姿を俺に晒して良いのだろうか。この男子校では男同士にナニがあってもおかしくないというのに。 おずおずとシャツのボタンに手を伸ばし、プツ、プツ…と、一つ一つゆっくり開けていく。一ノ瀬に腕を上げさせて肌着を脱がせると、湿った白い肌にピンク色の飾りがぷくりと立っていて、思わず視線をパッと逸らした。 (これは、俺が見て良いものなのか?悪いことしてる気分になる…目に毒だ。) ドキドキする心臓を鎮めるため、ふぅ、と息を吐いて、しゃがんでベルトに手を伸ばす。カチャカチャと音を鳴らしベルトを解いた後、スラックスのチャックを引っ張りジジジ…と下ろしていく。 服の擦れる音と静けさが男女のソレが始まる前のようで、変な緊張感が漂う。 「いつまでそうしてるの?」 上から声がかかり、パッと上を見上げると瞳を開けた一ノ瀬が俺を見下ろしていた。 男子高校生のズボンのチャック下げるなんて行為は生まれてこの方やったことがない。まさかそれを見られているなんて思わなくて、顔がカァッと熱くなる。 「なっ……お前が脱がせろっていう、から…」 「………もう自分で脱ぐからいい。」 そう言って後ろを向いてスラックスを下ろす一ノ瀬。俺はその後ろ姿をキョトンと見つめ、「初めからそうすれば良かったじゃん…」と呟いた。俺も一ノ瀬に背を向け、体にぴっとりくっついてくる服を脱いだ。 脱衣所に裸の男が2人。思いもよらぬ変な状況に俺は緊張からか口の中が乾く。 「準備できたよ」 「あ…うん………。じゃあいくぞ…」 俺は振り向くと一ノ瀬はまだ背を向けたままで、腕を引いてお風呂場へ導いていく。俺は一ノ瀬をこれ以上直視できなくて、視線を顔ごと背けた。
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