ヤクザ教師は隠したい

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「ほら、ジッとして…」 「くすぐったい…」 「背中あらってるだけでしょ?」 「うっ…そうだけど」 今度は攻守交代で俺が一ノ瀬に背を向けている。 自分以外の誰かに背中を直に触れられることなんてないから、くすぐったくて背中をダンゴムシのように丸めた。こちょこちょが弱い俺は笑いそうになって体を震わせる。 「我慢して」 「……ンッ、」 一ノ瀬の手が腰からくびれのラインをなぞって腋に到達して、くすぐったさから背中を仰反った。変な声が出てしまって俺は思わず口を抑えて青ざめる。一ノ瀬に聞こえてしまっただろうか。 「なに?ココが弱いの?」 「ちがう!良いからサッサとしろ…」 背後にいる一ノ瀬が悪戯な顔で笑ったような気がして俺は急かすように言葉を投げかけた。 一ノ瀬の手は脇を通って俺の胸をくるくると撫でるように洗ってくる。胸の飾りを指で優しく摘んだかと思えば、弄ぶかのように指で転がしてくる。その触り方はやっぱりなんかおかしくて、感じるって訳じゃないけど、ソワソワするっていうか…。 「お前、その洗い方やめろ」 「別に普通に洗ってるだけだけど…もしかして感じちゃった?」 「馬鹿か。そんなの感じる訳…」 「なら良いでしょ?これが僕流の洗い方なんだから。」 と言われても、俺はもう恥ずかしさが限界な訳で。早く済まして欲しいのに、なんでこう念入りにやってくるのか。 「足、開いて…」 そう言って一ノ瀬は俺の足の間に右手を擦り入れてきた。にゅるんとした感覚が背筋をゾクゾクさせて、思わずまた変な声が出そうになってしまう。 「い、良いからっ…もう自分で」 「約束破るの?」 「お前だって男のもの触るのとか、嫌だろ」 「夏輝のだったらいいけど」 「何でだよ」 俺のものがお粗末だと言いたいのだろうか。気持ち悪がる価値もないと。それは聞き捨てならないと、男のプライドにスイッチが入って遠慮がちに少しだけ足を開いた。
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