ヤクザ教師は隠したい

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こういう時はどうしたら良いんだっけ?頭でぐるぐる考えようとするけど、なんせ達してしまったばかりで頭が回らない。 「まっ、てくれ……今のは、忘れて欲しい…」 「忘れられると思う?」 「………オモイマセン。スミマセンデシタ。」 視界に嫌でもチラチラと映る一ノ瀬のソレが少し反応しているように見えて、ギョッと目が飛び出そうになる。 頭のどこかで一ノ瀬は性に興味がないものと思っていた。女の影も、増してや男の影なんて全くないし、1人でシているところの想像もつかない。なのに色っぽいってどういうことだ? 「ぁああぁあ…っ、もういっそのこと殺してくれ!」 もう色々と恥ずかしくて消えてしまいたくなって、顔を手のひらで隠して叫ぶ。すると一ノ瀬は俺の頭をゆっくり床に置いて、手首を掴んで床に押しつけてくる。 もしかして続きを御所望なのかと、一ノ瀬の顔を見上げると欲を含んだ瞳で俺を見下ろしていた。俺は豹に睨まれた小動物のようにピシッと動けなくなってしまう。 「もう、限界…心臓爆発するから無理……」 一ノ瀬の視線から逃げるように顔を背け、睫毛を伏せてそう伝えたが、一ノ瀬の影が近づいてくる。ギュッと瞳を閉じると目蓋に柔らかい感触がして、チュッと音を立てて離れていく。 一ノ瀬の髪から水滴が俺の首筋に滴って、肌を伝ってポタリ、ポタリ落ちていく。 「湯船に入ろうか」 「……………う、うん」 俺は唖然としたまま頷くことしかできなかった。そうして俺たちはシャワーで体を洗い流した後、背中を合わせて湯船に入った。 「お前こっち見るなよ」 「なに?呼んだ?」 「こっち見るな変態!」 「変態はどっちだか。僕の手で…」 「わーーわーーわーーー!!」 1人用の湯船だから少し狭さを感じながらも丸くなって肩までお湯に浸かっている。背中がくっついてるのはなんだか落ち着かないけど、視線が合わないのが救いだ。
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