偽不良くんは諦めない

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「今年も同じクラスだといいなー」 何気なく呟かれたその言葉にチラリと視線だけ向け、また前を見る。 「馬鹿じゃねぇの。」 「またまた~なつだって、また俺と一緒がいいと思ってるんじゃねぇの?」 そう言われて鼻で笑ってやると「ひでぇ!」とケラケラ笑いながら、全然傷付いている様子には見えなかった。 しかし、もし俺と山本が同じクラスじゃなかったとしたら俺はボッチ確定だろう。俺みたいな奴に話しかけてくる物好きは山本くらいしかいなかったし、俺から話しかけようとも思わなかった。 かと言って俺は山本とずっと一緒にいたわけでもなく、1人で行動することの方が多かったような気がする。 「お、ついた。あれじゃね?」 山本が指差す方へ目を向けると、掲示板に生徒たちが群がっていた。恐らくあそこに今年のクラスが発表されているのだろう。自分の名前を探そうと掲示板に近付くと、俺が進むところに自然と道ができる。 「お。ラッキー!前いこうぜ」 なんとも思っていないのか、それとも天然なのか山本は俺の腕を引っ張って掲示板の前にズカズカと進んでいく。周りに見守られ(?)ながら自分の名前を探していると、A組の紙に高嶋 夏輝と書かれていた。 「うわぁ、まじか…俺B組だ…」 「…違うクラスだな。」 落ち込む山本の肩をポンと叩くと、恨めしそうに俺を見上げる。 「昼休みたくさん押しかけてやる…」 「面倒クセェ」 「どーせ俺がいなくなって清々したと思ってんだろこんにゃろ」 シュッシュッとシャドウボクシングを俺に向けてやりながらむくれる山本に内心笑う。
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