夏輝くんは選べない

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「何で理事長代理がここで働いてるんですか?」 槙田が素朴な疑問を理事長であるパンダさんにぶつける。槙田が敬語を使う違和感はあるものの、それに関しては俺も気になっていたので口出しせずパンダさんを見る。 「社会ベンキョーってやつで働いてたら居心地良くなって。生徒が授業中の時は任された仕事して、息抜きにコンビニ」 息抜きにコンビニって仕事三昧じゃないかと思ったが、理事長だと分かった瞬間から気まずくて上手く話すことができない。 「まぁ、俺が理事長ってことはどうでも良いんだけどナツキの後ろに隠れてるコ。」 全然どうでも良くない!と心の中でツッコミを入れながら、俺の後ろを覗き込むパンダにつられて凪を振り返る。 「やっぱなーくんだ」 ″なーくん″と呼ばれた瞬間、ピクリと肩を揺らした凪は不快極まりないと言いたげな表情で顔を上げる。 「凪と知り合いですか?」 「え?なーくんから聞いてないの?俺たち従兄弟。」 「「は!?」」 声を上げた俺と槙田は驚いた顔を見合わせる。「知ってたの?」と目線を送ってくる槙田に俺は首を振って答えた。 「だからなーくんは理事長の甥っ子ってこと」 頭が追いつかない。 無口な凪のことだから別に秘密にしようと思っていたわけではないんだろうけど、これは流石に驚きだ。 「そういえば制裁受けたって聞いたけど、怪我は治ったの?」 槙田の前で制裁の話を持ち出すなんて常識ハズレだとも思ったが、槙田もあの件に少し関わっていることを思い出し、口を挟むのをやめた。 「まさか喧嘩負け知らずのあのなーくんが1発もやり返さないなんて驚いたよ」 「その話はしなくていい。」 「え?凪って箱入り息子で喧嘩もしたことないんじゃ……」 「へぇ〜そう言ってるんだ」 俺の知らない凪がどんどん浮き彫りになっていき、知らない凪を知れて嬉しいというよりは凪の口から直接聞きたかったな、とモヤッとした感情が胸の内を占める。 * * * * * * * * * * 文中失礼します。 500ページお祝いコメントありがとうございました!( ´ ▽ ` )とても嬉しい…励みになります! これからも楽しんで読んでいただけると嬉しいです。夏輝くんに幸あれ!!
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