夏輝くんは選べない

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「知ったら夏輝が怖がると思って言えなかった。」 「怖いっていうか……びっくり……」 驚きすぎて心臓がドクドクしてるのが触らなくてもわかる。今日は何回凪に驚かされたら良いんだろうか。 でもそんな過去があったら友達に言いづらいのも納得だ。 「俺たちの族は無闇に喧嘩しないし、犯罪に手を染めることもしてない。だけど、仲間を傷つける奴とか、悪い奴らには別だ。俺たちはただ手の届く範囲のものは守りたいだけで…」 「そっか、凪は昔から凪なんだな。言ってくれてありがとう。」 真剣に俺と向き合って伝えてくれた凪の頭をわしゃわしゃと撫でると、凪は少し嬉しそうに口角を緩めた。 「そう言えば、何で制裁受けた時やり返さなかったんだ?」 「夏輝に知られるのも嫌だったし、叔父さんとか眞白(アイツ)に関わるのも嫌だったから。」 「……眞白さんとは仲悪いの?」 「普通に嫌いってだけ。」 確かに無表情ってところはそっくりだけど、眞白さんと凪の性格じゃソリが合わなそうだ。顎に手を添えながら納得していると、凪が俺の太ももに手を置いて視線を合わせてきた。 「あと、もう一つ秘密にしてたことがある。」 「え?」 「知りたい?」 コテンと首を傾げる凪は天使のように可愛いのだが、悪魔のような笑みを浮かべていて、やっぱり眞白さんと同じ血が通っているんだと思い知らされる。 「別に……無理に言わなくても…」 「言いたくなった。だって、夏輝は俺のこと全部受け入れてくれるんでしょ?」 グイッとさらに凪との距離が近くなって、唇があと数センチで触れてしまいそうになる。 「まっ、て……これ以上は頭がパンクして何にも考えられなく…」 「考えなくて良い…」 太ももについているのと反対の手が俺の後頭部をするりと撫でる。さっきの緊迫した空気感とはまた違う雰囲気が俺の頭の中を真っ白にさせる。
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