偽不良くんの告白

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「僕が理由もなく助けると思う?」 確かに一ノ瀬は正義感が強いタイプでもないし、他人のためより自分のために動きそうだ。そんな一ノ瀬が何で俺を助けるのか。 「わからないなら、もう一回わからせてあげようか?」 妖しく弧を描いた唇を見て、本能的に早く逃げなきゃ喰われると察知した俺は一ノ瀬に掌を向け距離を取った。 「いっ、い…いいから!!」 「そう?それは残念」 俺の反応を愉しむように首を傾げ、高校生とは思えないほどの色気ある笑みを向けられる。 「じゃあ夏輝は僕の部屋に通いたいみたいだから、君だけ特別にこれあげる」 そう言って一ノ瀬が取り出したのは部屋のスペアのカードキーだった。 それを見て最初に思ったのは俺と一ノ瀬の噂話。合鍵なんて持っていたらまた変な誤解を生んでしまうに決まっている。 「こんなもの持ってたらまた他の生徒に、お‥俺たちがつ、付き合ってる…とか言われるだろ!」 「そんなこと気にしてるの?逆に意識してるみたいだね、僕のこと」 「ち、違う!!違うから!これ、もらう!!」 まんまと一ノ瀬の口車に乗ってしまった俺は奪うように一ノ瀬の部屋の鍵を受け取った。本当に一ノ瀬は俺の神経を逆撫でする天才だ。 こいつは自分の格好良さとかこの学園の男たちの恐ろしさとかわかっていないんじゃないかとたまに思う。こんな簡単に自分の部屋の鍵を渡して、昼夜問わず入ってこられる状況を作って、いつ襲われても金銭を取られてもおかしくないぞ。 それほど俺を信頼している……? (いやいや……それはないだろ) とにもかくにも学年首席で生徒会書記、イケメン金持ちの合鍵をゲットしたのであった。
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