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当日。
割と立派なマンションの上のほうに彼女の住む部屋はあった。
「凄いわねぇ」
「大した事無いわよ」
出迎えてくれたカズミはにこにこしていた。
「さあ入って」
玄関には靴がたくさんあった。
「ごめんね、両親も来ちゃってるのよ」
「ええ?」
それは気まずいなぁ。やっぱり来るべきじゃなかったか。
「良いの、みんな笑顔で出迎えてくれるわ」
「ええ……でも……」
「良いからほら、上がってよ」
掴まれた腕がちょっと痛かったけど、彼女の熱意に負けることにした。
こんなに祝って貰いたがっているのだ。せっかく買ったプレゼントの反応も見たいし。
私は靴を脱ぎ、室内に入った。
「ねえ、男の子? 女の子?」
脱いだ靴をそろえながら私は尋ねた。
「ん? 何が?」
「え?」
振り返った彼女はきょとんとしていた。
新しい家族……二人目じゃないの?
もしかしてペットを飼い始めた?
そんな事でパーティー開かないよね?
音楽が流れている。クラシックだ。
でも、子供が二人いるにしては静かなような……。
「こっちよ」
彼女が歩き出す。
「う……うん」
私は仕方なくそれについて歩きだした。
リビングに続くドアが開く。
「さあ、どうぞ」
促されるままに入る。
立派な応接セット。その奥には食卓も見える。
ソファにも椅子にもすでに誰かが腰を下ろしていた。
「みんな、ユリコが来てくれたわ」
「お、お邪魔します……」
そう言って私はすかさず頭を下げた。
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