24.翻弄

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「総司を連れて早く帰れ!こっちの後始末は任せろ」 「はい!」琉菜ははっきりと返事した。 「土方さん、私なら大丈夫ですよ」沖田は息を切らせながら言った。その顔色は全く大丈夫そうではなかった。 「沖田さん、帰りましょう」  沖田は口のまわりについた血を着物の袖でぬぐうと、「しょうがないなあ」と微笑んだ。  琉菜は沖田を立たせ、土方らに後を託して屯所への道を歩きだした。 「琉菜さん、一人で歩けますよ」 「嘘つかないでください!そんなにふらふらしてるくせに!」  琉菜は沖田の腰のあたりを支えながら、緊張に張り詰めた面持ちで夜道を歩いていた。 「それに……ごめんなさい、沖田さん」琉菜は不意に言った。 「どうしたんです?」 「やっぱり、止めればよかった。沖田さんに無茶させて、結局藤堂さんも……あたしが、藤堂さんを助けてくださいなんて頼まなければ、もしかしたら……」 「また泣くんですか?」沖田は柔かい口調で言った 「あなたももういい大人でしょう。そんなに泣き虫じゃ困りますよ」沖田は青白い顔で微笑んだ。 「まだ泣いてません!」琉菜は意地になって言った。沖田を支える手に力がこもった。  沖田はそんなことは全く気にかけず、少し遠くを見つめた。 「私は、琉菜さんに感謝していますよ。最期に、藤堂さんに会えましたし」  これでも抑えていた涙が、堰を切ったようにあふれ出た。 「なんで、こんな時に、そんなこと言うんですかぁ!」  沖田の看病をしなければいけない立場だというのに、慰められ、元気づけられ。  己の情けなさを呪うとともに、沖田の精神力にただただ舌を巻く琉菜であった。
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