2.三たび時の祠

9/9
359人が本棚に入れています
本棚に追加
/483ページ
「忘れんといて。琉菜ちゃんの家はここにもある。新選組でなんかあったら、いつでも帰ってくるんやで」多代も写真から目を離し、琉菜の肩をがっしりと掴んだ。そして「ま、大丈夫やとは思うけど」とにやっと笑った。  その笑顔に、琉菜も笑顔で返した。 「みなさん、本当にありがとうございました。いつか、また来ます」  琉菜は兵右衛門、多代、紋太郎の顔を順番に見た。  ありがとう。  次に会えるのは、もっと先になるけど。  新選組の行く末を見届けたら、ここに戻ってこられたらいいな。 「それじゃ、いってきます」  琉菜は三人に背を向け、新選組の屯所・西本願寺に向かって歩き出した。
/483ページ

最初のコメントを投稿しよう!