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「忘れんといて。琉菜ちゃんの家はここにもある。新選組でなんかあったら、いつでも帰ってくるんやで」多代も写真から目を離し、琉菜の肩をがっしりと掴んだ。そして「ま、大丈夫やとは思うけど」とにやっと笑った。
その笑顔に、琉菜も笑顔で返した。
「みなさん、本当にありがとうございました。いつか、また来ます」
琉菜は兵右衛門、多代、紋太郎の顔を順番に見た。
ありがとう。
次に会えるのは、もっと先になるけど。
新選組の行く末を見届けたら、ここに戻ってこられたらいいな。
「それじゃ、いってきます」
琉菜は三人に背を向け、新選組の屯所・西本願寺に向かって歩き出した。
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