3.いざ、西本願寺

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 しかし止まる直前、誰かに背中を押され、琉菜は前につんのめった。  バランスを崩して転びそうになった琉菜を、沖田がぽすっと受け止めた。 「だ、大丈夫ですか?」沖田の声が頭上から聞こえた。 「は、はいっ…!」琉菜は慌てて沖田から体を離した。  う、うわああなんだいきなりこんな展開!!  琉菜は恥ずかしいやら若干嬉しいやらで顔を赤らめた。沖田の顔を直視できず、今ので少し乱れた着物の裾を直す。   「原田さん、危ないじゃないですか」沖田が原田をたしなめた。 「ちょーっと手が滑ってな」  琉菜を転ばせた張本人・原田はにやりと笑った。どうやら素早く琉菜の背後に回って、文字通り”背中を押した”ようである。  原田は琉菜の耳元に顔を近づけると、小さく言った。 「まんざらでもないだろ?」  原田はさらににやっと笑い、琉菜は口を尖らせた。 「いきなりわけわかんないことしないでください!」  確かに、まんざらでもないけどっ!! 「琉菜さん」  沖田の柔かい声に、琉菜は振り返った。 「おかえりなさい」  久しぶりに見る、懐かしい顔。  あいかわらず無邪気なその笑顔に、琉菜は深い安堵感を覚えた。 「はい。ただいま帰りました」  琉菜はにこっと微笑み、沖田をまじまじと見つめた。     
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