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「坂本さん!どうしてここに!?」琉菜は新選組の誰かに見られたらまずいと思い、こそこそと坂本に近付いた。
「あのあとどうなったかの?」坂本は早口で言った。
「大変でしたよ、いろいろと。でも大丈夫です」琉菜は声を低くした。
「迷惑かけようてすまんの。ところで、大政奉還は知っとるじゃろう?」
坂本がずっとこの話をしたくてうずうずしていたであろうことは手にとるようにわかった。
「知ってます」琉菜は短く答えた。
複雑な気持ちだった。大政奉還のおかげで今の日本があるといっても過言ではない
ここで幕府が力を取り戻したり、従来のように誰かが別の幕府を立てたりしたら、歴史は大きく変わり、令和の世でも刀を持ち歩いたり着物を着たりしていたかもしれない。
でも、それで新選組が幸せになれるなら、あたしはそれでもいいんだけど。
あと百年幕府が続いて、新選組も代々受け継がれて、初代局長の近藤勇が歴史的に大きな位置を占める……そんな想像を一度か二度したことはある。
だが、それは叶わぬ願い。幕府はもう、なくなるのだ。
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