22.大政奉還、そして……

11/11
前へ
/483ページ
次へ
「だから、あたしとしては、逆にその謎を本場のここで知っときたいなあと……」 「お前に言われなくても、山崎に調べさせてる。なんで俺たちが濡衣着せられなきゃならねえんだ」土方は苦々しく舌打ちした。 「琉菜さん、わかったらお教えしますよ」近藤が朗らかに言った。 「ありがとうございます」  どうせわからないんだろうな、と思いながら琉菜は空になったお盆を持って立ち上がった。 「総司はどうですか」近藤が何気無く尋ねた。 「今日は熱が少し落ち着いたので、素振りされてましたよ」  琉菜は微笑んだ。近藤も笑い返した。  琉菜はお盆を台所の戸棚にしまいながら、ふうと溜め息をついた。  坂本龍馬は死んだ。  次は琉菜のよく知っているあの男だ。  時代の動きは加速している。  琉菜は、その流れについていけるか、無性に心配になってしまうのだった。
/483ページ

最初のコメントを投稿しよう!

359人が本棚に入れています
本棚に追加