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「だから、あたしとしては、逆にその謎を本場のここで知っときたいなあと……」
「お前に言われなくても、山崎に調べさせてる。なんで俺たちが濡衣着せられなきゃならねえんだ」土方は苦々しく舌打ちした。
「琉菜さん、わかったらお教えしますよ」近藤が朗らかに言った。
「ありがとうございます」
どうせわからないんだろうな、と思いながら琉菜は空になったお盆を持って立ち上がった。
「総司はどうですか」近藤が何気無く尋ねた。
「今日は熱が少し落ち着いたので、素振りされてましたよ」
琉菜は微笑んだ。近藤も笑い返した。
琉菜はお盆を台所の戸棚にしまいながら、ふうと溜め息をついた。
坂本龍馬は死んだ。
次は琉菜のよく知っているあの男だ。
時代の動きは加速している。
琉菜は、その流れについていけるか、無性に心配になってしまうのだった。
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