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「伊東さんですか?」沖田は真剣な眼差しで言った。
「それは……」
「図星でしょう。教えてください。本当のことを」
言ったら、沖田はどうするだろうか。
加勢しに行くか。止めに行くか。どちらにせよ、体の状態も省みず飛び出していくに違いない。
琉菜がそんな風に悩んでいるのを見通したのか、沖田は
「琉菜さん、あれ、体温計、貸してください」
と言って手を差し出した。
琉菜は枕元に置いてある体温計を手渡した。まさか。琉菜はハラハラしながらすっかり慣れた手つきで熱を測る沖田を見ていた。
測り終えた体温計を見て、沖田はにんまりと笑った。琉菜がのぞき込むと、三十七度三分だった。
「どこですか?」
「えっ」
「土方さんたちは、どこに行こうとしているんですか?」
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