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「い、言えません……」琉菜は咄嗟に拒絶した。
「みんなが戦ってるのに、私だけ屯所に残ってるわけにいきません」
琉菜はぐっと口をつぐんだ。
沖田が、武士らしく尊厳を持って最後まで生きられるように「三十七度五分の協定」を琉菜は結んだのだ。
二十四時間三百六十五日大人しく寝ていろとは言わない。熱がなければ、動いてもよい。
そのルールに従うならば、沖田を行かせない理由はない。
「七条、油小路」
琉菜は、絞り出すように言った。
沖田は布団から出ると、枕元に置いてあった刀を手に取った。
「沖田さん、あたしも行きます」
「何言ってるんですか。危ないですよ」
「大丈夫です。刃引き刀を持っていきます。あと、動きやすい着物に着替えてきますから、待っててください」
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