23.油小路にて

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 琉菜は有無を言わせず自室に戻った。  自室の隅には、刃引き刀がしまってあった。近江屋に行った時女将に預けてそれきりだったが、巡察に出た永倉に取り返してきてもらったのだ。  いざとなったら、沖田さんを守る。  いざとなったら……  ……藤堂さんを、助ける。  琉菜は素早く袴に着替えた。  刃引き刀を腰に差すと、屯所の裏口に向かう。  沖田も、寝間着の着流しではなく、きちんとした袴に着替えていた。  提灯の薄明かりしかない宵闇。沖田の顔色の悪さは良くも悪くも隠れていた。 「行きましょう」沖田は静かに言った。 「沖田さん」 「なんですか?」 「藤堂さんを、助けてください」  ただでさえ青白い沖田の顔が、さらに蒼白になるのが琉菜にはわかった。 「わかりました」  沖田は、それだけ言った。  山崎さん、あたしもやってみます。  ”仮説”が覆るかどうか。覆してみせる。  藤堂さんを、死なせない。
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