23.油小路にて

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 事件の舞台となる七条油小路は、屯所から程近い場所にあった。  十分か十五分も歩いたかと思うと、大きな声や刀と刀がぶつかり合う音が聞こえてきた。  もう始まってる。  琉菜と沖田はさらに近づいた。  月が、ちょうど天高く昇っていた。少しは明るい。  新選組隊士らは、黒い隊服に身を包み、姿がよく見えない。だが、十人はいる。対する御陵衛士の者たちは、少し少ないようだ。  十字路の角には、男が打ち捨てられるように横たえられていた。目を凝らしてみると、それは伊東の亡骸であった。  刀の音がキン、キンと大きく響いた。  新選組側は永倉、原田、斎藤らがいる。  御陵衛士の方には琉菜が屯所で何度も会った加納、篠原など。そして、藤堂もいた。  藤堂さん、お願いだから死なないで。  逃げて。  その時、琉菜は背後からの足音に振り返った。 「局長、土方さん……!」
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