359人が本棚に入れています
本棚に追加
でも、違う。
沖田さんは、近藤局長の隣で、武士として刀を振れるのが、嬉しくてしょうがないんだ。
連れてきたのは、正解だったのかな。
史実だと、もう、この時点で沖田さんは戦いの記録から姿を消している。
あたし、歴史を変えられた……?
それなら、もしかしたら……!
沖田の話し声が聞こえ、琉菜はハッと我に返った。
「三浦さん、ここは私が!永倉さんの方に加勢して下さい!」
沖田は藤堂と戦っていた三浦という隊士を戦線から離脱させた。三浦は「承知」と言ってこくりと頷くと沖田と交代した。
キン、と沖田と藤堂の刀がぶつかりあった。
藤堂さん、逃げて……!
琉菜はその光景を見ながら、拳をぎゅっとにぎりしめた。
「沖田さん、久しぶりですね」藤堂ははあはあと息を切らせた。
「藤堂さん、逃げてください」沖田は静かに、だがしっかりとそう言った。
「嫌です」
最初のコメントを投稿しよう!