23.油小路にて

11/12
前へ
/483ページ
次へ
 嫌な音がした。琉菜はこの音を知っている。刀で人を斬った時の音だ。  ダメーッ!!  琉菜は叫びたかったが声がでなかった。  藤堂はドサリとくずれ落ちた。 「沖田先生、大丈夫ですか?」先程の三浦が、刀に藤堂の血を滴らせながら、力なく微笑んだ。  沖田は青ざめた。  琉菜は悲鳴を上げそうになるのを、なんとか口を手で塞いで抑えた。 「藤堂さん!!」 「平助!!」  やだ、やだ……!!  沖田は力が抜けたようにその場に座り込んだ。  近藤、土方、そして激闘の中にいた永倉、原田、井上がすぐさまかけよってきた。 「しっかりしろ!」 「平助え!」
/483ページ

最初のコメントを投稿しよう!

359人が本棚に入れています
本棚に追加