24.翻弄

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「土方さんが忙しいのはわかってます。でも、これから伏見に行くんなら、もっと忙しくなると思って……」  琉菜は息を吸った。 「あたしと、勝負してください」  土方は目を丸くして琉菜を見た。 「そういえば、そんなこと言ってたな。だが俺は今忙しいんだ。お前の相手してる暇はねえ」 「そんなこと言わずに……!伏見に行ったらそれどころじゃなくなっちゃうかもしれませんし。十分……いや五分で終わりますから」 「その『分』てのはなんだ」 「いや、えーと……四半時のさらに半分くらいです」  土方は考え込むような仕草をした。それから、やがて「しょうがねえな」と呟いた。 「伏見に向かって出立するのは四日後だ。その前日。三日後の午後の稽古の時に道場に来い」 「ありがとうございます!」琉菜はぱっと笑った。  琉菜は副長室を出ると、道場に直行した。  絶対に、勝つ。  その日のために、あたしは稽古を重ねてきた。  未来でも、日本一の女子高生になるまでがんばった。  今なら、きっと勝てる。
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