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土方は隊士らの方を向き、大声で言った。
「稽古はやめだ!これから、ここで試合を行う。よく見とけよ」
隊士たちが沸いた。
彼らにとって、琉菜と土方の試合を見るのはおよそ二年半ぶり。
あれから稽古を積んだ琉菜の腕前はどんなものかと、全員がわくわくした顔で壁際に座った。
「琉菜さん」
聞き慣れた声に、琉菜は振り返った。
顔色こそ最悪なものの、表情は明るい沖田が座っていて、琉菜に微笑みかけていた。
「がんばってくださいね」
「はい。絶対勝ちますから!」
「自信は、あるみてえだな」土方がにやりと笑いながら割って入ってきた。
「はい。今度はもう、負けません」
琉菜と土方は防具をつけて道場の中央に立った。
「では、はじめ!」
審判の永倉が言い、試合が開始された。
しかし、琉菜も土方も互いに相手の動きを読もうと、派手な動きはせずに、じりじりと歩くだけだった。
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