359人が本棚に入れています
本棚に追加
/483ページ
土方さんより、すばしっこさには自信がある。
でも、だからって闇雲につっこんで勝てる相手じゃない。
しばらくして、埒が明かないと思った琉菜は、素早く振りかぶって面を狙った。
土方はそれをさっと受け流し、琉菜の背後に回った。
「へえ、随分マシになったみてえだな」
「まだまだこれからですよ。手加減はしないでください。あたしも本気で行きますから」
「自分でそう言ったこと、後悔すんじゃねえぞ」
次は、土方の方から仕掛けてきた。
土方はすっと木刀を上段に構えた。
普通、相手が上段に構えたら、胴があく。
琉菜が胴を狙えば、土方は面を狙ってくるだろう。
だが、琉菜もご丁寧に開けられた胴につっこんでいくほどバカではない。
だから、土方の面を受け止めようと琉菜も面を狙った。
が、土方は面を打つかと思いきや、さっと構え直して胴を狙ってきた。
琉菜は危うく打たれそうになるところをさっと交わした。
土方さんの方がやっぱり一枚上手なのかな。
でも、あたしには、とっておきのフェイントがある。
最初のコメントを投稿しよう!